刑事事件の弁護士の探し方
1 刑事事件に関し弁護士に相談する場面
刑事事件を起こしてしまったときに、弁護士に相談する場面としては、①事件を起こしてしまったが拘束されず在宅での捜査あるいは捜査前の場面、②逮捕、勾留された場面、③起訴された場面、などがあります。
それぞれの場面における弁護士の探し方について、以下、説明していきたいと思います。
2 在宅の場面
この場面でも、特に事件を起こしてしまった直後は、どうすればよいか分からず不安を抱える時期かと思います。
この時点での弁護士の探し方は、インターネットで弁護士を検索する、各地の弁護士会に問い合わせてみるなどの方法があります。
インターネットでは自分のペースで多くの情報を得られる利点があります。
起こした事件と同種の事件について経験豊富な弁護士などを検索することも可能です。
3 逮捕、勾留された場面
逮捕、勾留されると、自分では身動きができなくなります。
家族の方などが事情を知っているときは、在宅の場合同様の方法で家族の方が弁護士を探すことができます。
また、逮捕されたときは、自身が希望をすれば、弁護士会から当番弁護士が派遣されます。
当番弁護士に事情を話してアドバイスをもらうことができ、当番弁護士に弁護を依頼することもできます。
逮捕後勾留されたときは、希望により国選弁護人が裁判所から選任されることになります。
ただ、私選弁護人のように自ら弁護人を選択することはできません。
国選弁護人は、あくまでも私選弁護人がいない場合なので、国選弁護人選任後に重ねて私選弁護人にも依頼をしたときは、国選弁護人は解任されることになります。
また、あくまでも被疑者国選弁護人が選任されるのは勾留されている期間だけなので、釈放されると終了します。
その後は、国選弁護人だった弁護士をそのまま私選弁護人として選任することや、新たに在宅事件と同様に別の弁護人を探すことを検討することになります。
3 起訴された場面
起訴されると、ほとんどの場合は弁護人を選任する必要になります。
起訴前に弁護人を選任していれば、そのまま起訴後も弁護人を継続するのが通常です。
起訴前に弁護人を選任していないときは、私選あるいは国選で弁護人を選任することになります。
国選の場合は、被告人が自ら弁護人を指名することなどはできないことと、資力要件があります。
私選弁護人を新たに選任する場合は、期間もないので早急に探す必要があります。
上記の方法の他、自宅近くの法律事務所に問い合わせをしてみるのもよいと思います。
刑事事件に強い弁護士の特徴
1 刑事事件に強い弁護士とは
刑事事件に強い弁護士とは、被疑者・被告人の要望に沿った刑事弁護を実践し、目標を勝ち取ることができる弁護士といえるでしょう。
例えば、早期の身柄解放や、執行猶予付きの判決など様々な目標が考えられます。
確かに、いわゆる量刑相場というのがありますので、必ずしも要望どおりの結果は出ないかもしれませんが、それに近づける弁護活動を実践する弁護士が刑事事件に強い弁護士といえるでしょう。
2 刑事事件に強い弁護士の特徴
⑴ フットワークが軽い
在宅事件である場合は別ですが、身柄拘束されている場合、勾留から最大20日間身柄拘束がなされ、その後起訴された場合には、判決が出るまで数カ月の期間を要することがあります(認め案件か否認案件か、追起訴の有無などにより期間が異なります。)。
そうすると、身柄拘束されている場合には、早期に被疑者・被告人と接見を実施し、弁護方針を決める必要があります。
また、その際、身柄解放に向けて積極的に取り組む場合には、身柄解放に向けた活動、例えば、身元引受人と面談し環境を整えたうえで、書面を裁判所に提出するなどの活動を速やかに行う必要があります。
そこで、フットワークが軽いことが望まれますし、刑事事件に強い弁護士なら当然にそのことは把握しています。
⑵ コミュニケーション能力の高さ・相性
刑事事件に限らず、どの事件においても言えることですが、弁護士との相性は大切です。
なぜなら、信頼関係がなければ、策定した方針に向けて効率的に対応していくことが困難になるためです。
特に、刑事事件で身柄拘束されている場合には、被疑者・被告人とのコミュニケーションのみならず、被疑者・被告人の親族や関係者とも密に連絡を取る必要が生じてきます。
その際、コミュニケーション能力の高さや相性の良さが必要になってきます。
また、刑事事件の場合、被害者と示談交渉を行う必要が出てきますので、被害者ともコミュニケーションをとる必要がありますので、示談成立のためには、コミュニケーション能力の高さが求められます。
⑶ 示談以外の情状弁護にも積極的
刑事事件における情状弁護は、被害者との示談成立のみではありません。
薬物犯罪など被害者が存しない犯罪類型の場合には、そもそも示談というものがありませんし、示談以外の情状も大切な要素になります。
例えば、被疑者・被告人の親族や関係者との調整を図り情状証人になってもらったり、社会復帰した際の環境を整えるようにしたり、本人の反省を促したり、と様々な情状弁護が考えられます。
このような情状弁護は、処分(判決含む)に大きな影響を与えます。
そこで、示談以外の情状弁護にも積極的な弁護士が、刑事事件に強い弁護士といえるでしょう。
家族が逮捕されたときの弁護士への依頼
1 家族が逮捕されてしまったら
もし、ある日、あなたの家族が突然警察に逮捕されたとします。
あなたは、逮捕された家族に対し、「逮捕されるような心当たりがあるのか」「何か必要なものがなるのか」など、聞きたいことがたくさんあるかと思いますが、逮捕された家族とすぐに連絡をとったり面会したりすることはできません。
逮捕後、少なくとも72時間は、家族であっても連絡を取ることができないとされています。
逮捕された家族と面会することができるのは、弁護士だけです。
弁護士への依頼は、逮捕された本人が行わなければならないのではと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、本人以外であっても、本人の家族のうち一定の関係にある場合、弁護士を依頼することができます。
刑事訴訟法では、被告人や被疑者の法定代理人(両親等)、保佐人、配偶者、直系の親族(親子)及び兄弟姉妹は、弁護人を選任することが認められています。
2 弁護士への依頼のしかた
弁護士に依頼する際は、刑事事件を得意とする弁護士を選ぶことが重要です。
弁護士にも得意不得意な分野があり、刑事事件をあまり対応したことがない人もいるためです。
刑事事件が得意かどうか、よく対応しているどうかは、それぞれの弁護士が担当している分野やこれまでの実績等について、ホームページやポータルサイト等で確認することで、ある程度判断できるかと思います。
3 当番弁護士制度
また、弁護士会では、当番弁護士制度を設けています。
逮捕された⼈が無料で1回、弁護⼠を呼んで相談することができる制度で、弁護士会が実質的に費用を負担しています。
この当番弁護士制度により、逮捕された人に派遣される弁護士のことを当番弁護士といいます。
当番弁護士を呼ぶことは、逮捕された本人だけでなく、その家族であってもすることができます。
逮捕された人の家族が当番弁護士を依頼する場合は、逮捕された地域にある弁護士会の窓口に連絡する必要があります。
その際、窓口の担当者から、逮捕された人の名前や生年月日、逮捕された罪名や逮捕された警察署の名前、外国人の場合なら通訳の要否等が尋ねられることがありますので、連絡する前に、事前に準備しておくことが大切です。